こんにちは、にょりです!
最近またケトジェニックダイエットが流行り出している気配がしますね!
筋トレ系で有名なYouTuberの方でも実際にやられている人がいたりして、少し前までは「ケトはカタボるから筋トレとの相性は最悪」などと言われていたのが嘘のようです。
これもひとえに某Youtubeチャンネルで山本義徳さんがEAAとともにケトジェニックダイエットについて解説していたのが影響しているのだと思うので、やはり著名な方の一言というのはすごい宣伝効果があるのだなぁと改めて感じました。
しかし、実際にケトジェニックダイエットを行なってちゃんと結果を出せている人って実はそんなにいないのではないかなと思います。
先ほど例に出した有名YouTuberの方も、ケトジェニックダイエットを始めたばかりの頃はむしろ脂の摂り過ぎで体重が増えたと仰っていましたが、もうそれって単純に食べ過ぎで減量どころか増量してますよね。
普通、ケトジェニックダイエットの初期は水分が抜けるので著しく体重が落ちます。
それなのに逆に体重が増えるということは、それだけ肉が増えているということです。(もちろん脂肪だけとは限りませんが、まあでもほとんどが脂肪でしょう)
ご本人も動画上ではケトジェニックは凄いみたいなことを仰っておられましたが、後半は早く炭水化物を入れたローファットダイエットに移行したいという意思を明確にしておられました。
これは山本さんがお勧めする減量の手順とは逆なので(山本さんはローファットからケトジェニックへの移行がより減量を確実にすると解説しておられました)、ご本人自身も実はケトジェニックダイエットがうまくいっていないことを自覚していらっしゃったのではないかなと思います。(ただの決めつけで申し訳ないですが…)
このようにケトジェニックダイエットはうまくハマればすごく良いダイエット法ではあるのですが、実際には大会出場経験(ひいては減量経験)も豊富なトレーニーが山本義徳さんというケトジェニックダイエットの専門家(ご自身の著作もあります)に指導されながらもなかなかうまくいかないのがこのダイエット法の難しいところなのかなと思います。
さて、随分と偉そうなことを書いてしまいましたが(そもそもうまくいったかいってないかは僕が判断することではないですし)、今回はそんなケトジェニックダイエットについて「こうすればもっとうまくいったんじゃないかな?」というポイントを僕なりに色々と解説させていただこうかなと思います。
それでは、さっそくいってみましょう!
- ケトジェニックダイエットでもカロリー収支の原理からは逃れられない
- MCTオイルは魔法の飲み物じゃない
- 別にケトジェニックダイエットは肉食ではない
- ケトーシスを目的にしてはいけない
- 閑話休題 実はケトジェニックダイエットは筋分解を促進しない
- まとめ やっぱりケトジェニックダイエットは難しい
ケトジェニックダイエットでもカロリー収支の原理からは逃れられない
まず最も重要なことは、ケトジェニックダイエットがいくら特殊なダイエット法だからといって、カロリー収支がプラスの状態であれば痩せていくことはないという大前提を忘れてはいけないということです。
とくにケトジェニックダイエットの初期は体に対して「メインのエネルギーが糖質から資質に変わったよ」ということを伝えるために食事における糖質と脂質のバランスを大幅に変えますが、これはあくまでも総カロリーは同一のままでPFCバランスのみを変えるという話です。
よく「ケトジェニックダイエットの初期は脂質をたくさんとらないといけない」と言われますが、これは別に上限カロリーを無視してとにかく脂質をとらなくてはいけないという話ではありません。
人間の体も基本的には物理法則の上で成り立っていますから、食べ過ぎればエネルギー保存の法則に従って余剰エネルギーが脂肪として蓄積されます。
これはケトジェニックダイエット中だろうが絶対に変わりません。(逆に言えばケトジェニック食でも増量は可能ということです)
それでも多くの場合、ケトジェニックダイエットの初期には体重が落ちます。
これは糖質の摂取を控えることで体内のグリコーゲンが失われていき、それに伴って筋肉中の水分が抜けていくことによるものです。
この現象は、正しくケトジェニックダイエットが行えていれば必ず起こります。
つまり、糖質制限ををはじめた初期の数日で体重が落ちなかった場合、それは食事のPFCバランスがおかしいか、食べ過ぎによって水分の減る量と脂肪の増える量が釣り合ってしまっているかのどちらかになります。
仮に原因が前者だとしたらまだ救いはありますが、後者だとしたら目も当てられないですから、とにかくケトジェニックダイエットだからといって食べ過ぎていいわけではないということだけは念頭においておいてください。
それでも、例えば後者のような状態であっても見た目の上では少し体型がすっきりしたように見えることがあります。
ただ、これも単純に体から水分が抜けたことによるむくみの解消によるところが大きいので(むくみは見た目への影響の度合いが体重の変化よりも顕著です)、とにかくケトジェニックダイエット初期の体重の変化には気を付けてください。
MCTオイルは魔法の飲み物じゃない
ケトジェニックダイエットをする上で必須サプリメントとして挙げられることの多いMCTオイルですが、どうもこのMCTオイルを本当に必須だと思っている人が多いように感じられるので少し注釈させてください。
MCTオイルがケトジェニックダイエットにおいて必須とされるのは、体がケトーシス(体内のケトン体濃度が高い状態)に適応するまでの段階においてのみです。
MCTオイルは小腸を介さずに肝臓でそのままエネルギー代謝される上、エネルギー利用率が非常に高いため中性脂肪として溜まりづらく、さらに吸収されたMCTオイルの一部がケトン体に変換されるためにケトーシスへの誘導を促進してくれるという本当に素敵なサプリメントです。
ただ、これはまだ肝臓がケトン体の生成をフル稼働で行っていないケトジェニックダイエット初期において有用であるだけであって、正しくケトジェニックダイエットを行えていればおよそ三週間ほどで必要なくなります。(だいたいそれくらいの期間で肝臓のケトン生成量がプラトーに達すると言われているからです)
そして、忘れてはいけないのは、MCTオイルも立派な油だということです。
いくら他の油と比較して脂肪として蓄積しづらいとはいえ、カロリーの塊である事実は変わりません。
MCTオイルによってカロリーが蓄積された分、他のエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなってしまうわけですから(MCTオイル自体に脂質代謝を促す効果があるという話もありますが…)、MCTオイルを摂り続ける場合は全体のカロリー収支がプラスに傾いてしまわないようにしっかりと注意しておく必要があります。
仮に1日にMCTオイルを50g摂取したら、もうそれだけで450kcalです。
筋トレをしている僕でさえ1日の摂取カロリーが2000kcalを超えてくると体重の減りが鈍化してきますから(これは僕がチビで消費カロリー自体が低いということもありますが)、食事に充てられるのは残り1500kcalほど。
そこにさらにプロテイン等のカロリーも含めなければいけませんから、実際に充てられる1食分のカロリーは3食なら400kcalほどです。
個人的には、体がケトーシスに適応できたなと感じた時点でMCTオイルの使用はやめていただいても結構かなと思います。その方が食事の楽しみも増えますしね。
別にケトジェニックダイエットは肉食ではない
国内でのケトジェニックダイエットの第一人者である斎藤糧三さんに喧嘩を売るような発言になってしまうのですが、どうもケトジェニックダイエット=肉食=ステーキみたいな図式ができてしまっているような気がして不思議だなぁと感じている昨今です。
確かにケトジェニックダイエットは脂質をたくさんとるダイエットですが、油なら何でもいいというわけではありません。
基本的にはフィッシュオイルや卵黄のような良質な脂質を中心に摂るべきで、焼き肉やサーロインステーキを食べることがケトジェニックダイエットの醍醐味であるかのような意見が散見されることには本当に疑問を感じて仕方がないです。(もちろん、食べてはいけないという話ではないのですが)
個人的にはケトジェニックダイエット中は全卵と魚を中心にした和風な食事がカロリーも抑えられて最適だと思うのですが(例えば焼き魚、目玉焼きorだし巻き、おひたし、味噌汁など)、実際にそういった食事でケトジェニックダイエットを行っている人というのはあまり見かけないような気がします。
まあ、最近はお魚も高いですから、肉食のほうが結果的にコストを抑えられるのかな?
ケトーシスを目的にしてはいけない
これは僕自身も前回のケトジェニックダイエットにおいて少し陥りそうになってしまったことなのですが、ケトジェニックダイエットの本来の目的は効率よく除脂肪を行うことに他ならないにも関わらず、気づけば体をケトーシスの状態に持ち込むことが目的になってしまっているケースが散見されます。(とくにSNSなどで)
確かにケトジェニックダイエットにおいてケトーシスになることは第一目的ではあるのですが、本当に大事なのはその状態に体を適応させ、脳や骨格筋などがケトン体を正しくエネルギーとして使えるようにすることです。
体がそういった状態になるからこそ、糖質をとらずとも健康的な状態でかつ効率よく脂肪をエネルギーとして消費することができるわけですからね。
また、これは上で書いたMCTオイルの摂取に関する注意事項にも関係してくるのですが、MCTオイルを飲んだ後でケトン体試験紙をチェックしたとして、仮にそれで陽性反応が出ても無事にケトーシスになれているとは限りません。
MCTオイルは摂取したうちの一部が体の状態にかかわらずケトン体に変換されるので、まだ肝臓がケトン体を大量生産する態勢に入っていなくてもMCTオイルを飲めば尿中にケトン体が出てくる可能性は十分にあります。
また、ケトーシスに体が適応してしばらくすると、体は各臓器や骨格筋で使われる主要エネルギーを遊離脂肪酸に切り替えるため(脳に優先的にケトンを使わせるため)、尿中のケトン体が減るという現象が起こります。
つまり、ケトジェニックダイエットを長く続けていると、ケトン体試験紙上では陽性反応が出にくくなってくるわけです。(血中検査キットの場合はまた別かもしれません)
つまり、ケトン体試験紙による結果に一喜一憂して自分がケトーシスであるかどうかを気にするのは実は非常にナンセンスであり、大事なのは糖質をカットした状態での自分の体の具合がどうであるかを正しく判断することに他ならないのです。(まあ経験がないとそれもまた難しいのですが)
いずれにせよ、一番重要なのは体重が減ること、体が絞れていくことですから、ケトーシスであるかどうかを気にするあまりそこから目をそらしてしまっているという状況だけは避けたいものですね。
閑話休題 実はケトジェニックダイエットは筋分解を促進しない
ケトジェニックダイエットは糖質をとらない関係から体内で糖新生を誘発し筋肉が分解されるという認識を持たれている方も多いと思います。
実際、ケトジェニックダイエットをはじめた初期は足りないブドウ糖を補うために体内で活発に糖新生が行われますから、筋分解を抑制する上で適正な量のタンパク質を摂取しなければなりません。
ですが、体がケトーシスになり、各骨格筋や脳がその状況に適応できれば、そもそも体内で消費されるブドウ糖の量が減ります。
もちろん、赤血球や一部の骨格筋、ミトコンドリアといったブドウ糖を必須とする器官もありますから、完全に糖質が不要になるかというとそうではありません。
ただ、それでもケトーシスに適応する以前と比較してブドウ糖の消費量は約25%程度になると言われており、またそのブドウ糖もケトジェニックダイエットにおいてメインのエネルギーとして消費されている脂質の余剰分から糖新生されるようになるため(糖新生は脂質由来でも起こります)、実は一般的なダイエットと比較してもかなり筋分解を抑制することができるというわけです。
よくダイエット中に起こる話として体内のエネルギーが枯渇したときは優先的に筋肉を分解してエネルギーに変える(そのために筋分解が起こる)という話が出てくると思うのですが、何故そうなるかというと、体が必要なエネルギー=ブドウ糖を筋タンパクを分解することによって得られるアミノ酸から合成しようとするからなんですね。
ですが、ケトジェニックダイエット中において体に必要なエネルギーとはブドウ糖ではなくケトン体ですし(もちろんブドウ糖も多少は必要となりますが…)、これは筋タンパクではなく脂肪から生成されるものですから、エネルギーの枯渇=筋分解という図式は当てはまらないというわけですね。
まとめ やっぱりケトジェニックダイエットは難しい
さて、ざっくりと僕の思いつくケトジェニックダイエットにおける要点を挙げてみましたが、いかがだったでしょうか?
過去に投稿した記事でも書かせてもらいましたが、やはりケトジェニックダイエットというものはしっかりとその性質を理解していないと減量方法としてうまく機能してくれないような気がします。
もちろん、ケトジェニックダイエットには他のダイエット法にはないメリットもありますし、だからこそ僕は減量のたびにこの手法を取り入れているわけですが、体質的に合う合わないといった問題もありますし、残念ながら万人におすすめできる減量法ではありません。
少なくともボディメイクにおける減量法として見た場合、最低でもケトジェニックダイエット中にトレーニングの強度の低下が起こらないことが絶対条件になります。
体質的にどうしても合わず、ケトジェニックダイエットを行うと筋力が落ちるという場合は素直に他の減量法を取り入れるべきでしょう。
ローファットダイエットでも最終的にはカロリー調整の兼ね合いから糖質を制限することになると思うのですが、この際に少しPFCバランスを変えてケトジェニックダイエット風にすることで、ローファットダイエットからケトジェニックダイエットにスムーズに切り替えられるという例を見たことがあります。(その場合、筋力の低下も抑えられるようです)
僕は基本的に糖質を抜いてしまったほうがあらゆる管理が楽になるのでケトジェニックダイエットに一本化していますが、上記のように別の減量法と組み合わせることで両方の恩恵をうまい具合に享受できる可能性もありますので、ケトジェニックダイエットに固執したりせず、自分に合った減量法で確実に成果を出せるようにしましょう。
それでは、今回は最後に今回の内容を簡潔にまとめて終わりたいと思います。
- ケトジェニックダイエットでもカロリー収支の管理は必須!
- MCTオイルはケトーシス誘導には便利だけど摂取のしすぎには注意!(それだけ摂取カロリーも増えてしまうため)
- ケトジェニックダイエットだからといって肉ばかり食べていてはダメ! 脂質はできるだけ魚油、卵黄、ナッツ類などの良質な脂質の摂取を心がけること!
- ケトーシスは目的ではなく手段! ケトーシスになることを目的にしてはダメ!
最近になって急に再流行の兆しを見せているケトジェニックダイエットですが、どうにもあまりうまくいっていない人のほうが多いように感じられるので今回はこんな記事を書かせていただきました。
ケトジェニックダイエットはやはり人によってかなり相性があります。
ですが、相性の良い人(例えば僕のような)にとってはこの上なく有用な減量法でもあるので、こうしてせっかく再流行したものの「やっぱりケトジェニックダイエットなんてろくなもんじゃなかったよ」と悪い印象だけが残ってしまっては残念でなりません。
皆さんに大手を振るっておすすめするわけではありませんが、原理を理解して正しく行えばちゃんとそれに見合った結果を出してくれるのがケトジェニックダイエットです。
もちろん、それは他のあらゆるダイエット法にも言えることではあるのですが、このケトジェニックダイエットもまた人間の体の機能を利用した立派な手法であり、飲めば痩せるだの着るだけで痩せるだのという胡散臭い魔法のようなダイエット法ではないのだということだけでもご理解いただければ幸いです。
それでは、長くなりましたが今回はこのへんで!